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フットボーラーズ・アンクル|サッカー選手に多い足関節の痛み

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フットボーラーズ・アンクル|サッカー選手に多い足関節の痛み

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「フットボーラーズ・アンクル」とは、足関節の底背屈運動が強制されることにより、骨同士が衝突して生じるスポーツ障害の一種です。この障害は、欧米においてサッカー選手に頻繁に見られる足関節の問題として古くから認識されています。しかし、サッカーだけでなく、ラグビーやバスケットボール、ダンスなど、様々なスポーツで発症する可能性があります。

フットボーラーズ・アンクルとは

フットボーラーズ・アンクルは、ボールを強く蹴ったり、着地時の動作などにより足関節の底屈(つま先を下に向ける動作)、背屈(つま先を上に向ける動作)が強制されることで骨同士の衝突が起き、それにより棘(とげ)ができたり、軟骨の損傷が起こり、痛みと足関節の可動域の低下などが起きてしまう障害です。別名、足関節インピンジメント症候群、衝突性外骨腫とも呼ばれています。足関節インピンジメント症候群は足関節前方インピンジメント症候群、足関節後方インピンジメント症候群に分けられます。

※)フットボーラーズ・アンクルは当初、主に足関節前方インピンジメント症候群を指していました。この記事では前方、後方双方について整理します。

フットボーラーズ・アンクルの症状

足関節の前方の痛み|足関節前方インピンジメント症候群

ジャンプの着地などで踏み込んだ時に、背屈が強制され前方の骨が衝突し起こります。足関節を背屈させた時に痛みを感じ、可動域も制限されます。骨同士が衝突すると足関節前面の軟骨に損傷をきたし、骨棘(こつきょく)が形成されます。進行すると、骨棘が骨折をきたし、関節内に遊離して骨や軟骨、靭帯などと衝突することで激痛を発する場合があります。

足関節の後方の痛み|足関節後方インピンジメント症候群

足関節後方インピンジメント症候群では、サッカーのキック、クラシックバレエのポア ント動作など足関節の底屈強制により足関節後方で骨同士が衝突したり、軟組織がこすれたり、はさみこまれることで痛みが発します。また、足関節後方に三角骨(距骨の後ろあたりにある過剰骨)がある場合、三角骨が周囲の骨に挟まれることなどにより痛みが発する場合があります。

治療、予防とリコンディショニング

治療

  • 痛みや腫れが強い急性期では、まずは患部を休ませ、冷やすことが大切です。必要に応じて温めることもあります。超音波治療や低周波治療などの物理療法を用いることもあります。
  • 関節の動きを適切に制限するため、テーピングやサポーターの使用も効果的です。
  • 痛みが強い時には、ヒアルロン酸やステロイドなどを注入することもあります。
  • 保存療法による症状の改善が見られない場合や、骨片が関節内に遊離している状況では、手術を行い、骨棘を取り除く処置をすることがあります。

予防

足首の柔軟性が不足していると、フットボーラーズ・アンクル(足関節インピンジメント症候群)に関わるリスクが増加するため、十分なストレッチを行うことが重要です。また、治療が不十分な足首捻挫や繰り返し発生する足首捻挫は、関節へのストレスを高める原因となります。したがって、足首捻挫を適切に治療することが重要です。

また、その上でテーピングやサポーター、インソールを使用することで関節の不安定性を補うことも選択肢の一つです。

リコンディショニング

リハビリテーションの初期段階では、最初に足関節に荷重をかけない動きの訓練からスタートします。その後、チューブを使って軽い負荷を加えた足関節運動に移行し、段階的にフィットネスバイクやプールでの歩行など、より負荷のある運動へと進めていきます。

1. 負荷をかけないトレーニング

痛みや腫れによって足関節の動きが制限されることがあります。再発を防ぐためには、この可動域を改善して柔軟性を高めることが重要です。最初に、体重をかけず、負荷もかけずに、足の背屈と底屈を実施します。

2. チューブなどを使ったトレーニング

次の段階では、痛みを感じない範囲内でチューブによる負荷をかけたトレーニングを行います。低強度から始めて痛みの状態を確認しつつ、徐々に負荷を上げていきます。

足首周囲・下腿のトレーニングはこちら

3. 復帰の最終段階へのトレーニング

医師と相談し、症状を確認しつつ、水中でのトレーニングやフィットネスバイクなどの体重がかからない運動から始めます。その後、ウォーキング、ジョギング、ランニングへと順に運動の強度を高め、スポーツへの復帰に向けた最終段階のトレーニングを行います。例えば初めのうちは、直線的な前進のランニングを行い、それができるようになったら、後ろ向きでの直進、その後は8の字走り、直角ターン、ジグザグ走りといった、より複雑な動きへと進めていきます。このプロセスを通じて、痛みの状態を常にチェックしながら、競技に必要な動きや筋力、技術を徐々に取り戻していきます。

参考文献

  • 『SPORTS MEDICINE LIBRARY』 ZAMST
  • Lavery KP, McHale KJ, Rossy WH, Theodore G. Ankle impingement. J Orthop Surg Res. 2016 Sep 9.

記事監修・ドクター紹介

毛利 晃大先

毛利 晃大先生

順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員
日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター