オンラインジャーナル
土踏まずとは|土踏まずの役割と足裏トレーニング
土踏まずとは|土踏まずの役割と足裏トレーニング
土踏まずとは足の骨が形成しているアーチ状の構造を指します。英語では「Arches of the Foot」と表記するため、足アーチと同義といって良いでしょう。この土踏まずの独特の形状は二足歩行を行う人類独特のもので、他の霊長類では見ることができません。今回は、私達が長距離を走ったり、自在にジャンプしたりするために不可欠な足の構造について整理します。
土踏まずの役割
土踏まずとは?
土踏まずは、2つの縦アーチ(内側縦アーチ、外側縦アーチ)と横アーチの3つがあり、体重を支えて直立姿勢を保ち、移動を円滑にする機能を有します。尚、横アーチを前部と後部に分けて考える場合もあります。
これらのアーチは中足骨と、その後ろにある7つの骨(距骨・踵骨・舟状骨・内側楔状骨・中間楔状骨・外側楔状骨・立方骨)の形状によって形成されており、靭帯と足の外在筋、内在筋に支えられています。 また足底腱膜という筋膜が肥厚してできた膜が、足底を縦に走り、アーチ構造をサポートするとともに、体重移動を円滑にするウィンドラスメカニズム(巻き上げ機構)を成り立たせています。
土踏まずの主な役割とは?
- 凹凸のある地面に足を適応させます。
- 体重を分散します。
- 歩行時、ジャンプ動作時の衝撃を吸収します。
- ウィンドラスメカニズムにより体重移動を円滑にします。
このうち、衝撃を吸収し、地面に適応するために足は柔軟である必要があります。一方、前に推進するためには、剛性が高い必要があります。人類の足は土踏まずを含む独特の形状により、柔軟性と剛性(強さ)の両方を兼ね備えているのです。
内側縦アーチと横アーチ
土踏まずのアーチ構造のうち、体重の分散や衝撃の吸収には内側縦アーチの役割が大きいとされてきました。インソールの機能などを説明する際に使われる「アーチを支える」といった表現は、主に内側縦アーチのことを指します。一方で最近の研究によると足の剛性において、横アーチが重要な役割を担っていることが分かってきました。
この足の剛性については、紙幣やトランプをトンネルのように曲げると理解しやすくなります。中央部を指で押すと弾性や硬さが生まれていることが分かるでしょう。この3つのアーチの形状と足底腱膜のはたらきにより、着地時に衝撃を吸収するとともに、そのエネルギーを歩行時の推進力としてバネのように機能させることが出来るようになっています。
土踏まずに関係する足のトラブル
土踏まずの形状は人により様々ですが、変形が顕著な場合にはトラブルを抱えやすくなります。
扁平足:足全体が地面に触れるように、足の縦アーチが低下するか消失している状態です。足の衝撃を吸収する機能が不十分で疲れやすくなりますが、歩行に影響があるなど重症の疑いがない限りは、個体差の範囲と考えられ、足底筋の強化やアキレス腱のストレッチ、アーチサポート付きのインソールの使用などで対応します。
扁平足|原因と症状 インソールは扁平足に良いのか?
https://www.zamst-online.jp/hpgen/HPB/entries/159.html
凹足:足の縦アーチが異常に高くなります。土踏まずが高すぎても衝撃吸収能力が低下し、母趾球部とかかとにかかる負担が大きくなります。扁平足と同様に多少の変形であれば過度な心配は必要ありません。
開張足:横アーチがなくなり、中足骨(足の甲にある5本の細長い骨)が扇のように広がっている状態を指します。外反母趾になるリスクが増えます。
足アーチ崩れによる足の変形|開張足・凹足・扁平足など
https://www.zamst-online.jp/hpgen/HPB/entries/180.html
外反母趾:足の親指が小指側にくの字に変形して、親指の付け根で痛みや腫れが現れる症状で、土踏まずの形状の変化や低下が原因になる場合があります。
外反母趾|症状と予防 スポーツ選手にも起こる足の親指の痛み
https://www.zamst-online.jp/hpgen/HPB/entries/178.html
足底腱膜炎:主にランニングやジャンプ動作を繰り返すことなどで足底への負担が大きくなり、腱の変性や炎症が起こってしまうことで発生するケガです。オーバーユースが主な原因のため、痛みを感じたらすぐに安静にし、足底の負荷を軽減します。足底腱膜に影響する筋群のリラクゼーションを目的として、ストレッチングを行い、症状が軽くなってきたら、少しずつ足底の筋力強化を行います。
足裏を鍛えるストレッチとトレーニング
土踏まずに関係する足のトラブルの保存療法の一つに、アーチサポート付きのインソールの使用があげられます。そのためにも、まずは自分の土踏まずの形状を知るところからはじめましょう。自宅で簡単に診断出来る方法については、「あなたの足裏のアーチにおすすめの、スポーツインソールの選び方」をご覧ください。
また、保存療法として推奨される足底筋の強化やアキレス腱のストレッチには以下のようなものがあげられます。(ただし、足底腱膜炎の場合は足底の筋力強化は症状が軽くなってから行います)
足裏・足趾のストレッチ1
指の間に手を入れ、ゆっくりまわします。
足裏・足趾のストレッチ2
足を手で覆い、指を曲げます。15~30秒キープし、反対側も同様に行います。
足裏・足趾のトレーニング
タオルギャザー
タオルを足の指でたぐり寄せます。なるべく大きな動作で行います。 慣れてきたらペットボトルなどをタオルの上に置いて強度を上げます。
足裏・足趾のトレーニング
グーパー運動
足の指を開いたり、閉じたりする動作を繰り返します。開くときは左右に大きく開き、指を反らします。 出来る限り大きく動かしましょう。
アキレス腱のストレッチ
足を前後に開いて、壁に両手をつきます。後ろの足のかかとが上がらないように注意しながら前の足を曲げて体重を前にかけます。
参考文献
- 『Sports Medicine Library』ZAMST
- 『対策HAND BOOK 足の痛み』ZAMST
- 医療情報科学研究所 『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア
- Chauhan HM, Taqi M. Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb: Arches of the Foot. [Updated 2022 Nov 9].
- Chauhan HM, Taqi M. Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb: Arches of the Foot. [Updated 2022 Nov 9].
記事監修・ドクター紹介
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員
日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター