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コンパートメント症候群とは(区画症候群)|急性の場合は下肢や腕に激しい痛みを伴う

コンパートメント症候群とは、手足の筋区画(四肢で膜状組織に囲まれた閉鎖区域=コンパートメント)の内圧が上昇し、痛みを引き起こすものです。急性コンパートメント症候群は、骨折や手術の後などに発症し、短期間に重篤な症状が現れ、緊急の対応が求められます。一方で、慢性コンパートメント症候群は、運動を無理に続けたり、過度に行ったりすることで徐々に発症します。慢性の場合は、練習内容などを見直すことで、症状を改善できることが多いとされています。

コンパートメント症候群とは

コンパートメント(筋区画)とは?

コンパートメントとは、腕や脚の中で筋肉、神経、血管がまとまっている部分のことを指します。これらの組織は筋膜という強靱(きょうじん)な膜で包まれています。筋膜は組織をその場所にしっかり固定する役割があるため、簡単には伸びたり広がったりしません。腕は三つ、下肢(かたい)には四つの区画があります。コンパートメント症候群は、この区画内に余分な圧力がかかり、筋肉が筋膜を必要以上に圧迫したときに発生します。

急性コンパートメント症候群とは?

急性コンパートメント症候群は、スポーツや交通事故による打撲、骨折、脱臼などが原因で、コンパートメント内に腫れや出血が生じることで発症します。筋膜が伸びないため、コンパートメント内の毛細血管、神経、筋肉に圧力がかかり、血流が妨げられます。その結果、酸素や栄養が十分に供給されず、神経細胞や筋肉細胞が損傷を受ける可能性があります。この状態で圧力を速やかに開放しないと、永久的な筋肉損傷や組織の壊死(えし)に至る恐れがあります。そのため、迅速な外科的緊急処置が必要です。

慢性コンパートメント症候群とは?

慢性コンパートメント症候群は、通常、激しい運動や身体活動を続けることで、時間をかけてゆっくりと進行します。急性コンパートメント症候群ほど緊急を要する状態ではありませんが、非常に強い痛みを伴うことがあります。症状が軽い場合には、運動を中止することで軽減されますが、障害の程度によっては外科的処置が必要な場合があります。

 

コンパートメント症候群はどの筋肉群でも起こり得ますが、最もよく起こるのは脚、特に下肢の筋肉群。それから手と手首を含む腕です。

コンパートメント症候群になりやすい人と症状

急性コンパートメント症候群になりやすい人と症状

急性コンパートメント症候群は、スポーツ中に手足(かたい)を強く打撲したり、蹴られたり、タックルを受けたりした際に発症することがあります。スキー、ラグビー、バスケットボール(での骨折や打撲時)などが典型的です。また、骨折や打撲に際し、ギプスや添え木をきつく締めすぎることによる合併症として発生する場合もあります。典型的な兆候としては、特にコンパートメント内の筋肉が伸ばされたときに感じる激しい痛みが挙げられます。この痛みは、けが自体から想定されるものよりも強く、関係する筋肉を動かしたり伸ばしたりすると、さらに悪化します。加えて、皮膚にチクチクとした痛みを感じる、あるいは熱さを伴う感覚障害が現れることもあります。代表的な症状としては、痛み、脈拍の消失、感覚障害、まひ、皮膚の蒼白の五つが知られていますが、必ずしもこれらすべてがそろって現れるわけではありません。

慢性コンパートメント症候群になりやすい人と症状

ランニングやサッカー、サイクリング、水泳、重量挙げなどの運動によって、慢性コンパートメント症候群が発症することがあります。この症状は、特に10代後半から20代前半のスポーツ選手に多く見られると言われています。慢性コンパートメント症候群は、時間をかけて徐々に進行しますが、その主な原因は頻繁な激しい運動です。同じ種類の運動やトレーニングを繰り返すことで、特定の筋肉に繰り返しストレスがかかり、圧力が蓄積される可能性があります。慢性コンパートメント症候群では、運動中に痛みやけいれんが生じますが、一般的に運動をやめると痛みは消えます。特に脚に多く発生し、しびれなどを伴うこともあります。

コンパートメント症候群の治療とリコンディショニング

急性コンパートメント症候群の場合は、急激な痛みや腫れ、変形がある場合は直ちに医療機関に搬送します。一般的にはギプスや包帯などの固定が強い場合には圧迫を解除し、基本的にはすぐに筋膜切開術(影響を受けた部分を覆っている皮膚と筋膜を切り開きます)による除圧などの外科的処置が施されます。

 

慢性コンパートメント症候群では安静にするなどの保存的治療により症状が軽快する場合があります。保存的治療が効かない場合は、手術が選択肢となる場合があります。急性コンパートメント症候群の手術と同様の筋膜切開術となります。

 

また慢性コンパートメント症候群では特定のサーフェス(コンクリート、人工芝など)で症状が悪化する人もいます。練習場所を変えることで症状が緩和されることがあります。

 

急性コンパートメント症候群からの運動復帰は必ず医師の許可を得て進めましょう。一般的に術後は、約1カ月でランニング復帰というのが一つの目安になるでしょう。
慢性コンパートメント症候群の場合、前脛骨(ぜんけいこつ)筋や腓腹(ひふく)筋、腓骨(ひこつ)筋などのストレッチを取り入れた練習前後のケアが重要です。特にエキセントリックな筋力トレーニング(筋肉が収縮した状態から伸ばす動きで力を発揮する運動)は避け、主にコンセントリック筋収縮(筋力を発揮させながら収縮させる運動)を中心としたトレーニングが良いとされています。

参考文献

  • 『SPORTS MEDICINE LIBRARY』ZAMST
  • 医療情報科学研究所 『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア
  • Torlincasi AM, Lopez RA, Waseem M. Acute Compartment Syndrome. [Updated 2023 Jan 16]. 

記事監修・整形外科医

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター

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