野球肘(やきゅうひじ)におすすめの、肘のストレッチ|肘の痛みの予防に
野球肘は主に投球動作によって肘関節(ひじかんせつ)に生じるスポーツ障害です。使いすぎや間違ったフォームにより、筋肉または靭帯(じんたい)と骨がくっついている部分や、関節を痛めます。内側型、外側型、後方型に分類されます。この記事では野球肘の予防におすすめのストレッチを中心に解説します。
野球肘の原因と症状
野球肘は、主に成長期の投手に多く見られるスポーツ障害で、特に野球のスローイング動作が原因で発生します。名前の通り、オーバーユース(使いすぎ)によって肘に負担がかかり、投球時に肘の内側、外側、後方(肘頭)に痛みが生じることが特徴です。痛みは徐々に現れることが多く、放置すると慢性化しやすいため、早期の注意と対処が重要です。
特に小学生に多く見られる「リトルリーグ肘」とも呼ばれる内側型の野球肘は、肘の内側にある成長板(骨端線)が過度に使われることで損傷を受けるものです。重度の場合、成長板が骨から分離する可能性があり、これにより肘の可動域が狭くなり、将来的に投球能力が低下するリスクもあります。
野球肘の原因と症状については、野球肘|症状と予防 オーバーユースに起因する肘のスポーツ障害をご覧ください。
野球肘の予防やリコンディショニングにおすすめのストレッチやエクササイズ
以下に腕や手首の代表的なストレッチやエクササイズをご紹介します。運動を始める前にはリラックスした状態で、必ず適度なストレッチなどの準備運動を行いましょう。また腕以外にも腰、背中、脚など全身のコンディショニングで腕の負担を軽減してあげることも心がけましょう。
手首のストレッチ(手の背屈筋群)|腕の内側の筋肉を伸ばす
- 手のひらを正面に向けて腕を前に伸ばした状態で、指先を上に向け、反対側の手で指をつかみ、肘が曲がらないようにしながら体の方に引きます
- 腕の内側の筋肉がよく伸びていることを感じながら15~30秒程度静止します
- 次に腕を前に伸ばした状態で、手のひらを向こうに向けて、指先を下に向け、手の甲を手前に向けて引き、15~30秒程度静止します
- 左手も同じように行います
- 小指側にひねる、親指側にひねるという動作により筋肉の伸び方に変化を与えます
手首のストレッチ(手の掌屈筋群)|腕の外側の筋肉を伸ばす
- 手の甲を正面に向けて腕を前に伸ばした状態で、指先を下に向け、反対側の手で指をつかみ、肘が曲がらないようにしながら体の方に引きます
- 腕の外側の筋肉がよく伸びていることを感じながら15~30秒程度静止します
- 小指側にひねる、親指側にひねるという動作により筋肉の伸び方に変化を与えます
前腕・手首のストレッチ|腕の内側・外側の筋肉を伸ばす
- 床にひざをつき、親指を外側に向けて手をついて、手のひらが床から離れないようにしながら肘を伸ばし、体重を後ろにかけます
- 腕の内側の筋肉がよく伸びていることを感じながら15~30秒程度静止します
- 同様に手の甲を床につけて体重を後ろにのせ、腕の外側の筋肉も伸ばします
前腕の回内・回外ストレッチ|手、肘、肩全体を伸ばす
- 手のひらを上にした状態で腕を伸ばし、反対側の手で力を加えながら、肘を伸ばしたまま手のひらを反時計まわりに回します
- 手~肘~肩まで腕全体が伸びているのを感じながら15~30秒程度静止します
- 同様に手のひらを時計まわりに回します。この動きを数セット行います
- 反対側の腕も同じように行います
手首の回転ストレッチ
- 手を組んで、交互に手首を20回程度回します
なお、ストレッチは関節や筋の柔軟性を高める上で有効な方法であり、ケガの予防に期待されていますが、その効果の証明については議論がわかれます。また、痛みを感じた場合には、ストレッチを継続するのではなく、主原因であるピッチング動作の休止を徹底しましょう。その上ですぐにスポーツドクター、または整形外科など専門医を受診しましょう。
前腕・手首のストレッチ動画もご覧ください
参考文献
- 『SPORTS MEDICINE LIBRARY』ZAMST
- 『対策HANDBOOK 肩・ヒジ・手首・指の痛み』ZAMST
記事監修・整形外科医
- 毛利 晃大先生
- 順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター
腕の痛みについてより深く学びたい方へ
各痛みに関するドクターによる症状解説、トレーナーによる対処法解説がアーカイブ化されています。
※サポーターの使用によりこれらの症状に効果があるわけではありません。