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膝蓋腱炎(ジャンパー膝)とは|膝のお皿のすぐ下か上に痛みを感じたら

「膝蓋腱炎」はジャンパー膝とも呼ばれるオーバーユースに起因する膝のスポーツ障害です。主に激しいジャンプを必要とするスポーツで膝蓋靭帯(しつがいじんたい)の小さな裂傷によって引き起こされます。主な症状は活動に付随した膝の痛みで、膝蓋靭帯の局所的な圧痛(触れると痛みを感じる状態)があります。
※膝蓋腱(しつがいけん)とも呼ばれます。

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)とは

膝蓋骨とは

膝蓋骨(しつがいこつ)は、いわゆる膝のお皿です。人体にある種子骨(腱の中に含まれた小さな骨)の中で最大のものです。膝蓋骨は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と膝蓋靭帯を連結し、膝の前面を補強するとともに、膝の屈伸を助ける役割を果たします。

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)とは

ジャンプやダッシュなどの膝関節の強度な屈伸動作を頻繁に、長時間行うと、膝の伸びる仕組みに過度な牽引力が繰り返しかかり、膝蓋骨周辺に微細な裂傷が生じることがあります。これらの裂傷は通常、膝蓋靭帯や大腿四頭筋腱に蓄積されたストレスによって引き起こされます。ジャンプ競技の選手、特にバレーボールやバスケットボール選手、走り幅跳びや走り高跳びの陸上競技選手、長距離走選手、スキーなどのスポーツ選手では、大腿四頭筋に高い負荷がかかるため、この症状がよく見られます。

オスグッド・シュラッター病との違い

膝蓋腱炎と同様に、ジャンプ競技に多い膝の痛みにオスグッド・シュラッター病(https://www.zamst-online.jp/brand/supporter/47436/)があります。スポーツをする成長期の男子によく見られるオスグッド・シュラッター病では、膝蓋靭帯と脛骨(けいこつ)のつながっている部分が、はがれたり、炎症を起こしたりします。ジャンパー膝の場合はお皿のすぐ下か、すぐ上が痛むのに対し、オスグッド・シュラッター病は、お皿よりちょっと下の脛骨のあたりが痛みます。

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)になりやすい人は

前述のようなジャンプ競技の選手に多く見られるこの症状は、エントリー層よりも部活動や競技スポーツに取り組む選手に多いとされています。年齢的には10代の選手に多く、特に男性に多く発生します。
(ジャンプを頻繁に行うスポーツに参加しない人が膝蓋腱炎になることもあります)

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の症状は? どんな痛み?

運動時に膝の前面にずきずき痛む(疼痛)や触れると痛む(圧痛)を感じる状態になります。

局所的に熱を持ったり、腫れたりすることもあります。最初は、運動を始めたときや激しい運動の直後に膝に痛みを感じるだけかもしれません。しかし、時間が経つにつれて痛みが悪化し、スポーツをするのが難しくなります。最終的には、階段を上る、立ち上がるなどの日常の動作にも支障をきたすようになります。
なお、ジャンパー膝のチェック方法ですが、選手を腹ばいにして膝を曲げると、痛みから逃れようとしてお尻が上がる「尻上がり現象」が見られます。この症状は片側だけでなく両側で発生することもあるため、片側に痛みを感じた場合でも反対側のチェックも重要です。

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の治療と予防

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の治療

ほとんどの場合、膝蓋腱炎の治療は、膝の周りの筋肉を伸ばして強化する理学療法から始まります。痛みの程度によって治療法が異なるため、以下を参考にしてください。

 

運動後に痛みが生じる場合
大腿前面のストレッチを行い、運動後に局所をアイシングします。サポーターの装着も推奨されます。

 

運動前後に痛みが現れる場合
上記に加えてジャンプ動作を休止し、膝と股関節を中心とした下肢の運動療法とアイシングを行います。

 

運動に支障をきたす痛みがある場合
数ヶ月間運動を休止し、下肢の筋肉のバランスを改善するためのストレッチを行い、痛みが消失してからトレーニングを再開します。

いつ整形外科の診察を受けるべきか

まずは患部にアイシングをしたり、痛みを引き起こす活動を一時的に減したりするなど、上記のようなセルフケアを試します。それでも痛みが続いたり悪化したり、日常の活動に支障をきたす場合、または関節の腫れや赤みを伴う場合は、専門医に相談しましょう。場合によっては断裂などで縫合手術が必要になることもあります。

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の予防

普段からスポーツの前後にしっかりとウォームアップとウォームダウンを行うことが、オーバーユースによる障害の予防に重要です。特に激しい練習や試合後には、運動直後の体温が高い間の段階で十分なストレッチを行うことを心がけましょう。

 

ジャンパー膝の場合、大腿四頭筋に筋肉痛が起こる、階段の昇降がつらい、膝上下に痛みが出る前に、大腿部に兆候(脚全体の張りなど)を感じることがあります。この兆候の段階で以下の処置を行い、症状の進行を防ぐことが大切です。

 

  • 十分な時間をかけてストレッチを行う
  • アイシングやアイスマッサージをする
  • マッサージで筋肉をほぐす

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の予防におすすめのストレッチ

特に運動後に痛みを感じる場合は、大腿四頭筋と腸腰筋をストレッチしましょう。これらの筋肉のストレッチは、股関節が十分に伸ばされていることが重要です。ストレッチの際には、股関節がしっかりと伸びているかどうかを確認しましょう。

1. 大腿四頭筋・腸腰筋のストレッチ(立位)

踵をお尻に近づけ、足を手に持つ。お腹に力を入れ、膝を後ろに引く。15秒から30秒キープ。

3. 大腿四頭筋・腸腰筋のストレッチ(座位)

図の状態で後方に手をつき膝は浮かさない。

肘をついてさらに伸ばす。膝は浮かさない。

更に伸ばせるようなら床に背中をつける。15秒から30秒キープ。

4. 大腿四頭筋・腸腰筋のストレッチ(立膝)

踵をお尻に近づけ足を手に持ち、胸を張って、腰を前に出す。15秒から30秒キープ。

その状態から、持った足の位置を左右にずらし、伸ばす部位を変える。

5. 大腿四頭筋のストレッチ(伏臥位)

踵をお尻に近づけ足を手に持ち、15秒から30秒キープ。

6. 大腿四頭筋・腸腰筋のストレッチ(横臥位)

踵をお尻に近づけ、足を手に持つ。お腹に力を入れ、持っている方の膝を後ろに引く。15秒から30秒キープ。

7. 腸腰筋のストレッチ(伏臥位)

伏臥位の体勢から片足を反対側に倒し、手と足をできるだけ遠くに離す。15秒から30秒キープ。

8. 台や椅子を用いた大腿四頭筋・腸腰筋のストレッチ

踵をお尻に近づけ足を手に持つ。胸を張って、腰を前に出す。15秒から30秒キープ。

持った足の位置を左右にずらし、伸ばす部位を変えてみる。

参考文献

  • 『SPORTS MEDICINE LIBRARY』ZAMST
  • 『対策HANDBOOK ヒザの痛み』ZAMST
  • 医療情報科学研究所『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア
  • Santana JA, Mabrouk A, Sherman AL. Jumpers Knee. [Updated 2023 Apr 22]

記事監修・整形外科医

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター

膝の痛みについてより深く学びたい方へ

各痛みに関するドクターによる症状解説、トレーナーによる対処法解説がアーカイブ化されています。
※サポーターの使用によりこれらの症状に効果があるわけではありません。