三津家貴也さんに聞く「ランニングをより楽しく、長く走り続けるためのスポーツインソールの役割」
SNS総フォロワーが100万人を超えるランニング系インフルエンサー、三津家貴也のランニング実用書『もっと楽にもっと速く がんばらないランニング』が快走を続けている。かねてからインソールを愛用している同氏に、ザムストの新しいオーダーメイドインソール「フットクラフトカスタム バランス」を試してもらった。
ケガのリスクを小さくするフォームとは
三津家さんの著書では「楽しく、無理なく走るフォーム」についてわかりやすく解説されていますね。さらに、スポーツ科学に基づいた論理的な説明が非常に印象的でした。書籍の冒頭では、ランナー1686人を対象に行ったアンケート結果が紹介されていましたが、ランニング中に最も多い悩みが「膝やふくらはぎなど脚が痛くなること」だったのはあらためて驚きました。
そうですね。ランニングは楽しく続けたいスポーツですが、痛みを感じてしまうと継続することが難しくなってしまいます。そのために身体の正しい使い方を知ってほしいという思いが出版のきっかけの一つです。正しいフォームで走れば身体を痛めるリスクを大幅に減らすことができます。
書籍では、ケガを防ぎつつ、楽しく走るためのフォーム改善方法を、筑波大学大学院時代の研究成果をもとに解説されていますが、初心者でも取り入れやすい改善点があれば一つ挙げてください。
脚が痛くなる原因は、わかりやすく言うと「脚を使いすぎている」ことなんです。たとえば、地面を蹴る動作を強調しすぎると、ふくらはぎに疲労がたまりやすくなります。そこで、まず初心者の方に試していただきたいのは、「お尻の筋肉を使う」ことです。お尻の大きな筋肉を使って脚を動かすことで、無理なく楽に走ることができるようになります。結果として、足首や膝の関節への無駄な負担も減り、自然と脚全体の動きがスムーズになるのです。
キレイなフォームをサポートするスポーツインソールの役割とは
それ以外にも、膝の使い方や足関節に関して、既成概念とは少し異なるのに、なるほどと納得できるアドバイスがたくさん掲載されていますね。そんな三津家さんが提唱する理想的なフォームと、スポーツインソールとは相性は良いのでしょうか。
相性はいいです。それどころか、これを入れることでシューズが生まれ変わると言っても言い過ぎではないですね。シューズの安定感をグレードアップさせてくれるような感覚です。
また、そうしたすぐに実感できる効果だけではなく、インソールを使うと、フォームを意識するきっかけにもなるというのも大きいですね。もちろん、自分のフォームをまずは直すことが一番重要ですが、こうしたギアでフォームづくりをプラスアルファでカバーしていけるというのも魅力の一つです。
僕自身は、ランニングシューズだけでなく、日常の移動用シューズにもインソールを使っています。普段から正しい姿勢を保つように意識するようになり、結果的に日常的な疲労感の軽減にも役立っています。
楽に速く走るフォームをつくる上でインソールが果たす役割は、他にありますか?
具体的にフォームの観点で言うと、インソールを使うことで、お尻の動きを意識しやすい、動かしやすくなる感覚を得ることができます。
加えて、走る際の接地感を大きく変えてくれます。踵をしっかりホールドしてくれることで、接地した時の足のブレを抑えてくれるのです。身体にかかる力をお尻でドンと支えるためにも、接地の安定性はキレイなフォームに欠かせません。
また、僕は特に初心者の人に、地面に水平に接地する「フラット接地」をおすすめしています。フラット接地では、着地の際に足首の屈曲が少なくなり、着地の瞬間に足から地面に力が加わるとともに、地面から反発をもらえて、それが前に進む力になるのです。インソールの底は、少し硬いパーツ(※)で作られていますが、これが適度にしなることも接地時に安定感を与えてくれているようです。地面への力の加え方と反発力のもらい方をよりスムーズにし、推進力に変えてくれる印象があります。
※フットクラフトカスタムのベースコート部分、フットクラフトスタンダードのコアスタビライザー部分
「ウィンドラスメカニズム」がもたらす効果
ザムストのスポーツインソール、フットクラフトは足の強さを引き出す「ウィンドラスメカニズム」を実現する
レディメイドのインソールとオーダーメイドのインソールの違い
三津家さんはザムストのレディメイドのフットクラフトスタンダードとオーダーメイドのフットクラフトカスタムを両方愛用していますね。練習用はレディメイド、競技にはオーダーメイドと履き分けている人もいますが、三津家さんはどうですか?
ザムストの両モデルとも愛用していますが、僕の足の場合は、レディメイドのモデルでも充分効果を実感しています。但し、ファンの方と話すと、足に左右差がある方とか足の形状に特徴のある方が結構いらっしゃいます。そういう人にはオーダーメイドのモデルがおすすめですね。
それと、試合など大事な局面ではオーダーメイドのインソールを使う選手も多いというのもうなずけます。世界に一つだけの自分の足にぴったり合うインソールなわけですから、勝負の時に使いたくなりますし、より高い安心感を得ることができますね。
ランニングの場合、シューズの軽さを追求する方の中にはインソールをためらう人もいるようですが三津家さんは気になりますか?
僕は逆に入れないと不安ですし、十分軽い素材なので、個人的には入れない理由がみつかりません。キレイなフォームを保つサポートをしてくれる点やケガの予防という観点から、推奨しています。
ランニングをもっと楽しむギアとして
三津家さんはランニングを長く続けるために「楽しむこと」を重視されています。楽しむ上でインソールのようなランニングギアを選んでみるのもいいですね。
ランニングを楽しむ上で、仲間を作ったり、ラントリップを充実させて、もっと走りを楽しもうと提唱しています。
そして、このインソールのようなギアを選ぶこともその一つです。それによってモチベーションも高まるし、フォームもキレイになることでランニングの楽しさがまた一つ広がっていくと思います。
オーダーメイドのインソールは、僕も先程作っていただきましたが、こうして実際に型取りし、成形してもらう際に、やはり自分だけの特別な1枚になるんだなと思うとワクワクしますし、安心感が違います。ぜひみなさんもスポーツ店で一度作ってください。ランニングの世界がまた一つ広がります。