ランナー膝(腸脛靱帯炎)編|痛みのある足を支えるインソール
人間のヒザはとても複雑で不安定な構造をしていることを知っていますか? ヒザは負担がかかりやすく、損傷しやすい部位として知られています。そして、多くのランナーを悩ませるヒザのケガに「ランナー膝」があります。ここでは、ランナー膝になる原因とメカニズム、また予防とリコンディショニングについても解説します。
ヒザ関節のしくみ
ヒザはあらゆるスポーツをするうえで動きの支点として機能することから、負担がかかりやすく、損傷しやすい部位です。 ヒザ関節は、大腿骨(ダイタイコツ)や脛骨(ケイコツ)、腓骨(ヒコツ)、膝蓋骨(シツガイコツ)など、複数の骨が組み合わさってできています。さらに安定した動きができるように半月板やジン帯が補っています。ジン帯はヒザを安定させて、様々な動きを助ける大切な役割を担っています。
ランニングなどの同じ動きをくり返すスポーツでは、ヒザ周辺のジン帯や腱のオーバーユースが原因で痛みを引き起こすケースがあります。
「ランナー膝」 (別名:腸脛靱帯炎)とは
オーバーユースが主な原因ですが、ランニングが主な要因ですが、柔軟性不足、硬い路面や下り坂のランニング、硬いシューズの使用などが重なり要因に加わることがあります。 その他にも、足部のアライメント(下肢アライメント)の不調なども要因として考えられます。
実際の痛み
ランナー膝は、大腿骨の外側にある骨の周辺にズキズキとした痛みが発生します。 初期段階はランニング後に痛みが発生する程度で休めば痛みがなくなるため、練習を継続してしまう人も多くいます。
しかし、次第に痛みは強くなり、靱帯に沿って痛みが発生し、休んでも治らない状態になってしまいます。 実際、練習でひざに痛みを感じつつ、休み休み走れば問題ないと練習を継続していたランナーの例があります。練習の成果を発揮すべきマラソンレース本番で、過剰な負担がかかってしまいDNF(Did Not Finish=途中棄権)及び長期療養を余儀なくなってしまいました。
ランナー膝はこのように、大丈夫だろうと自己判断しやすく、かつ発生してしまうと完治するまで時間がかかるケガなので、痛みを感じたらまずはケアと安静を徹底し、根本的な原因を見直すことが大切です。
予防とリコンディショニング
ランナー膝の主な原因はオーバーユースによるものなので、まずはランニングを休んで安静にすることが第一です。 患部をアイシングして冷やすことも有効で、痛みをおさえる消炎鎮痛剤を使用することもあります。 大腿筋膜張筋などの股関節外部のストレッチの強化も、ぜひ実践してみましょう。
ランナー膝は一度なってしまうと簡単に症状は消えず、繰り返してしまうやっかいなケガです。 足部のアライメントを正すために、シューズにスポーツインソールを入れることもおすすめです。アライメントが不安定だと、ヒザが内側や外側にぶれてしまい負担がかかってしまいます。また、ヒザがまっすぐになっていないと地面を蹴り出す力がきちんと伝わりません。さらに、ヒザの負担をかばうことで、アキレス腱や他の筋肉にも負担がかかってしまうこともあります。
※足部のアライメントとインソールついて
スポーツインソールは軽い運動や普段の生活にも使えるの!?
- ニュートラル:直立して足に体重をかけた時に、下腿と足底部を縦線で結ぶと、まっすぐになる状態。
- オーバーブロネーション:直立して足に体重をかけた時に、下腿と足底部を縦線で結ぶと、内くるぶしが過剰に内側に倒れ込む状態。接地時の衝撃吸収が不十分になります。
- スピネーション:直立して足に体重をかけた時に、下腿と足底部を縦線で結ぶと、外くるぶしが外側に倒れこむ状態。接地時の衝撃が足底の外側に集中します。
まとめ
スポーツをしている人にとっては、足の痛みにより競技が続けられなくなることが一番つらいことではないでしょうか。 ランナー膝のように何度も繰り返してしまうケガの場合、「なんで自分だけ…」とやる気の喪失につながってしまうこともあります。ランナー膝に悩んでいる人は原因を理解し、適度に安静をとり、アイシングを徹底するとともに、ストレッチの強化の強化で柔軟性を向上させましょう。サポーターやインソールなどを利用して、身体にかかる負担を軽減させる事も検討しましょう。
おすすめのストレッチ
大腿四頭筋のストレッチ https://youtu.be/iyg4L4xJ2d4
臀部のストレッチ https://youtu.be/lRXFKYA6AFc
大腿四頭筋・腸腰筋のストレッチ https://youtu.be/YBzsZbj1I2U
ハムストリングスのストレッチ https://youtu.be/en43lXbZU3c
記事監修・整形外科医
- 毛利 晃大先生
- 順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター
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ひざの痛みについてより深く学びたい方へ
各痛みに関するドクターによる症状解説、トレーナーによる対処法解説がアーカイブ化されています。
※インソールの使用によりこれらの症状に効果があるわけではありません。