扁平足|原因と症状 インソールは扁平足に良いのか?
足の状態から「扁平足」と指摘されたことがある人もいるのではないでしょうか。扁平足とは足アーチ(土踏まず)が低下または消失し、足裏が扁平になった状態をいいます。扁平足が進行すると外反母趾(がいはんぼし)になりやすくなります。長時間歩いたり、スポーツをすると、疲れやすくなり、また土踏まずやふくらはぎに痛みを感じることがあります。この記事では扁平足について理解を深めながら足のアーチの機能について整理していきます。
足アーチ(土踏まず)とは
足アーチは、靱帯や筋・腱によって構成されたアーチ型をした足の骨組みのことです。体重を分散させ、接地時には衝撃を吸収する役割を果たしています。足アーチには横アーチ、外側縦アーチ、内側縦アーチがあり、衝撃吸収などには特に内側縦アーチが重要であると考えられています。
横アーチ
外側縦アーチ
内側縦アーチ
扁平足とは
扁平足は足アーチ(土踏まず)が低下または消失し、足裏が扁平になった状態をいいます。扁平足は発生した時期によって、小児期の扁平足と、成人期の扁平足に分けられます。小児期の扁平足は、成長に伴い自然に改善することがほとんどです。成人期の扁平足は、様々な原因がありますが、体重を受け止める靱帯や筋肉が弱まることにより徐々になるケースが多いといわれています。加齢による腱の変形や体重増加が背景になることがあり中年以降の女性や立ち仕事の人に好発します。
扁平足の症状と対処法
内側のくるぶしの下のほうに痛みや腫れがみられることがあります。進行すると外側のくるぶし周辺や足底に痛みを感じたり、関節も動かしづらくなることがあります。
扁平足とスポーツの関係|扁平足は何が悪いのか?
扁平足により、足アーチの低下や消失がみられるとオーバープロネーションの状態になりやすくなります。オーバープロネーションとは直立して足に体重をかけた時に、下腿(かたい)と足を縦線で結ぶと、内くるぶしが過剰に内側に倒れ込む状態を指します。この状態では接地時の衝撃吸収が不十分になります。その結果、スポーツをする上でも疲れやすくなり、足首、膝、すねへの負担増加にもつながる可能性があります。
扁平足の疑いがある場合はどうしたらいいか?
基本的に重症度が高い時以外は手術療法など外科的処置は必要ではありません。関節の柔軟性が失われ、歩行に影響があるなど重症の疑いがある場合には医療機関に相談しましょう。
ほとんどのケースでは、タオルギャザーなどによる足底の筋の強化や、アキレス腱のストレッチング、適正体重を維持するなどの療法が中心となります。またアーチサポート機能がついているインソールの使用をすすめられることもあります。
扁平足は治る?
扁平足のセルフケア
前述のように適正体重を維持するための取り組みとともに、足底の筋を強化することが保存療法(手術以外の治療法)として推奨されます。足底の筋を強化するタオルギャザーと呼ばれるトレーニングは床にタオルなどを敷き、足の指でたぐり寄せるようにします。最初はタオルだけで行い、慣れてきたらタオルの端に水を入れたペットボトルなどを置いて、負荷を上げていきます。 他には足の指で「じゃんけん」を行うように動かしたり、左右に大きく開いたり、指を反らせたり、曲げたり自由自在に動かすトレーニングがあります。詳しくは足裏・足趾のトレーニングをご覧ください。
インソールで扁平足は治るのか?
インソールで扁平足が治るわけではありませんが、アーチサポート機能がついているインソールの使用も扁平足の保存療法の一つです。インソールは日常生活においてもスポーツにおいても、靴にいれるだけで、履いている間、足底部のアーチ形態を補正して、足底の筋力や柔軟性の低下による足底への負担を和らげることが期待されます。
まとめ
- 扁平足は足アーチ(土踏まず)が低下または消失し、足裏が扁平になった状態をいいます。
- 小児期の扁平足は、成長に伴い自然に改善することがほとんどです。成人期の扁平足は、体重を受け止める靱帯や筋肉が弱まることにより徐々に扁平足となります。
- 扁平足により、足アーチの低下や消失がみられるとオーバープロネーションの状態になりやすくなります。その結果、疲れやすくなり、足首、膝、すねへの負担増加にもつながる可能性があります。
- 適正体重を維持するための取り組みとともに、足底の筋を強化しましょう。
- アーチサポート機能がついているインソールは足底への負担を和らげることが期待されます。
参考文献
- 『Sports Medicine Library』ZAMST
- 『INSOLE GUIDEBOOK』ZAMST
- 医療情報科学研究所 『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア
- 『家庭の医学』成美堂出版
記事監修・整形外科医
- 毛利 晃大先生
- 順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター